石内都展
見える 見えない 写真のゆくえ 西宮市大谷記念美術館
緊急事態宣言前日に鑑賞。明日からいろんなことが自粛になる日。宣言とは裏腹に緩い自粛ムードが街に充満する中、休業要請をされた施設、店舗は罰ゲームのような不平等感を感じていないか?とっても気になります。
さて石内都さん。超有名な写真家です。でも最近まで写真と名前が繋がらなかったんです。大阪国際メディア図書館でパラパラと見た石内さん同世代の方の手足を撮影した写真集『1・9・4・7』(IPC、1990年)。がーんとくるくらい衝撃でした。その印象を確かめる意味もあっての鑑賞。被爆者が身につけていたモノを撮影した「ひろしま」。メキシコの女性画家フリーダカーロの愛用品を撮影した 「Frida Love and Pain Frida by Ishiuchi」。元遊郭街を撮影した「連夜の街」。絹織物n美しさを撮影した「絹の夢」。写真集『1・9・4・7』の制作を機に人の身体に蓄積された時間を写した「INNOCENCE」。サボテンと薔薇の形や質感に皮膚のイメージを重ねた「sa.bo.ten Naked Rose」。日常の光景を写した「Yokohama Days]」。川崎市民ミュージアムで台風により被害を受けた自身の作品を撮影した「The Drowned」。大谷記念美術館は石内ワールドに満たされてました。
僕は最初の展示室でノックアウト。被爆した遺品を撮影した「ひろしま」。その衣服が醸し出す物悲しさではなく、その背景に存在した人を思う石内さんの目線を、心地よく感じてしまった。そう思うことが良いことなのか?美術館では自分のこの感覚に嫌悪感を感じたけれど、数日時間が経った今、それが石内さんの本質的なモノの捉え方だと気づき、広島原爆資料館に寄贈された意義に感動を覚え写真家としての凄みを感じました。先日、オリンパスプラザで見たフォトジャーナリストの安田菜津紀さんも、本質的な部分では共通する部分があるようにも連想。
展示室を移動するたび、この作品の本質は何?と探る自分。数年前ならこの手の作品に興味が沸くことはなかったけれど、とても楽しかった。自分の中の何かが変わったんでしょうね。
緊急事態宣言で一時的に休館になりますが7月25日まで開催されているので、ぜひ鑑賞されることをお勧めします。