雪の断章

佐々木丸美 創元社推理

 近所の本屋さんで宣伝していたので、読んでみました。1975年発表の小説。佐々木丸美さんのこと、まったく知りませんでしたが、この作風はすごい。読み終わって気づきましたが推理小説です。映画にもなっていて有名な小説みたいですね。
舞台は札幌で孤児院で育てられた、主人公の飛鳥。引き取られた家では散々な虐めにあい逃げ出す。奇跡の出会いで祐也と一緒に暮らし育てられること。周囲の人との心のふれあいと葛藤、奇妙な巡り合わせ、殺人事件、そして自分が孤児であることのわだかまり。シリアスなストーリーが、情緒豊かな文体と心情表現によって、ドラマチックにそして静かに進みます。現代の科学捜査からすると、あっというまに犯人が発見されてしまうと思う殺人の設定ではあるけれど、その点だけスルーすれば、素晴らしい作品でした。ドロドロした読了感を残しそうな展開なのに、後味が悪くない。
佐々木丸美さん、要チェックですね。

写真でこのストーリーを表現しようとすると冬の札幌で粉雪の舞う朝の光景にしたいと思う。この原作で映画が作られてます。そちらも見てみたい。

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