東京2020オリンピック SIDE:B

東京オリンピックの公式記録映画です。選手目線のSIDE:Aは、見れてませんが、SIDE:Bを先に観てきました。
噂通りガラガラ・・。

10年後に見た時にどう感じるだろう? 時系列の展開はせずに、いくつもの出来事をフラッシュバックのように展開。それもナレーションもなく淡々と。観終わってからも考えさせる、いい映画だなと思いました。

日本人なら、知ってるだろう、あれやこれが出てきません。国立競技場のデザイン問題、公式ロゴのパクリ疑惑、高コストな大会費用の問題。選手村の食堂の廃棄問題。競技場の開催場所の問題。ボランティアが集まらずお金が動いたとの噂。大会後の建物の活用問題は未だ解決してないようだし。こんなに望まれないオリンピックは無いという声の数々。このあたりは触れられてませんが、なぜか観てる途中、観終わった後に浮かんでくるんです。


森会長のジェンダー発言問題、肯定的に切り取る配慮が見られる部分は、映画の賛否に関わる部分でしょうか。演出に関わる担当者の交代、実質的に降ろされた狂言師の野村萬斎さんの、なんともな表情は、いろんなことを想像させます。国立競技場の芝生の設置、選手村の食堂の運営、女子バスケ会場(3オン3?)の会場設営。裏方で働く方の言葉とプロ意識を感じる仕事ぶりは、きちんと描かれていて好印象。天皇陛下、バッハ会長、森会長、小池都知事、政治家の方々、いわゆるVIP層のシーンは、これまで映像で観たこともないシーンが出てきます。ほんと色んな問題が起こってたことが解ります。こんなにもてんこ盛りのオリンピックをまとめ上げた監督の苦労は相当だったんだろうなと想像します。

オリンピック公式のドキュメンタリーということで、不都合な部分は描けないと思ってたけれど、ギリギリのラインで出し切った感じですね。公式の冠を外すと、どうなったのか?はとても気になります。

 東京オリンピックそのものの捉え方で、この映画の賛否が変わると思います。オリンピック完全否定派にとっては、こんなつまらない映画はないと思う。肯定派であっても、不満や苛立ちを感じたポイントはそれぞれでしょうから、そこが映像化されているか否かでも評価は変わってしまうだろうし。記憶は風化します。この映画で語られなかったことが後世に伝わらないとすれば、とても惜しい。この映画は、オリンピック開催を肯定する目線で描かれてる気がします。その中で数々の困難がありました。それを乗り越えてやり遂げた記録映画ですと。

東京オリンピックに関わる被害者は、多数。いや日本人全ての人が、そうかもしれない。当然監督の河瀬さんもそう。河瀬さんが当初作りたかった方向なんだろうか? どこかバランスを保とうとした忖度はあったのか? 真実は河瀬さんにしか知らないことだろうけど、そんなことも浮かんでくる。

映画に描かれていないことが、僕の頭の中に次々と浮かんだように、オリンピックの記憶が未だ残る日本人が、映像に描かれていないことをその人なりに穴埋めしながら見る映画かもしれない。海外の方や、オリンピックを知らない世代が見た反応は、違ったものになるとも思う。もし、そんな鑑賞者の反応を計算して制作したのなら、監督の河瀬さん凄いぞと。

僕には、いろんなことを考えさせてくれる、とても興味深い映画でした。

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