別れを告げない
すごい小説でした。
韓国史上最大のジェノサイドである済州島四・三事件がテーマ。
ドキュメンタリー映画「スープとイデオロギー」を観たことで、興味を持ち、関連する書籍を読み漁った中の一冊。
超・簡単に書くと
日本占領下の韓国は、日本の敗戦を機に勝利国であるアメリカ・ソ連(ロシア)を中心に統一国家を模索する。しかしソ連は北を、アメリカは南を主導し分断。アメリカは南だけの単独選挙を画策し南北分断は避けれない状況に。しかし分断を阻止し統一独立を願う済州島の南労党が武装蜂起を決行した1948年4月3日。これが発端となり南だけの独立を進める政権側が、「反共暴動」と位置付けた島民を数年にも渡り虐殺したという政権によるジェノサイド。
韓国は、この事実をずっと隠ぺいしてきたけれど2003年になって、政府は公式に認め済州島の地で謝罪した。
物語は、主人公である作家(キョンハ)が、仕事仲間で友人の映画作家(インソン)との交流から、済州島で生き残ったインソンの母親そして恐ろしい被害にあった家族の歴史を知る事に。
四・三事件のことを少し知って、この小説を読んだこともあって、どうしようもない焦燥感と嫌悪感にかられました。
戦争が始まる時は、だいたい人間のエゴやらメンツから。それが大勢になり、人としての尊厳や良心では止められず、破壊されるまで続けられる。夏になると戦争関連の特集されます。幸い日本では戦争は起きていません。戦争はダメという論調なのはどの世界でも同じだと信じたい。ただガザやウクライナで起こっていることは、なんなんだよと。広島や長崎で、原爆を忘れない、二度と起こらない、起こさせないと伝える努力が権力者の心にドンと据え置かれることを願います。
済州島四・三事件は韓国でも知らない人がいるとか、またこの事実を認めていない人も多いとか。
題名の「別れを告げない」とは、「哀悼を終わらせない」という作者の決意でもあると、あとがきに書かれてました。とても深い言葉だと読み終えて感じました。
多くの人に、この事実を知って考えてほしい。そんな素晴らしい小説でした。


