音のない理髪店

一色さゆり

音が聞こえない障害を持つ人生。それがどういうものなのか?作家である主人公が聴覚障害のある自分のルーツを探る小説です。著者の一色さんの書籍を読むのは始めて。文体や話の展開が巧いんでしょうね。とてもイメージしやすかったです。最後は泣けます。

耳に障害を持つ人達の人生。意思の疎通が図れないもどかしさを通り越した苦痛。健常者は、言葉を知っている前提で文字や手話を覚えることを想像します。でも、そうではないという当たり前のことに気づけていない。

言葉を聞き、動作やモノを見て自然と言葉が形成される。幼少の頃は、そうやって自然と学びます。その当たり前のことをベースに想像してしまうと。まったく的外れの見識になることを、この小説は教えてくれます。

聞こえないこともそうだけれど、自分が当たり前に出来ることが、出来ない。そういう世界を理解することは、とても難しい。

マイノリティーな個性が、認められる世界になる。これ難しいと思ってる価値観が変われば、実現出来るかもしれない。そう思ってしまう良書でした。

「音のない理髪店」 そういう生き方をしている人を、きちんと知る。
とても大切なことなんだろうね。

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