右脳思考を鍛える

内田 和成著

今年になって、これまで読んで良書だなと思った本を、再読しています。

100冊の本を読むより、良書を100回読むほうが良いと言ってたのは、松浦弥太郎さん。

この右脳思考を鍛えるは、楠木健さんの「戦略読書日記」に紹介されていて知りました。本の帯には、その楠木健さんが、「情報整理はこの本以外いらない」と書かれてます。再読してみて、改めて納得です。

この本は、情報を整理する、その先のことが書かれてます。情報を整理するのは、なんらかのアウトプットを目的としているはず。そのアウトプットの重要性を置き去りにした情報の整理方法、つまりインプットを促すハウツー本が、蔓延るなか、アウトプット重視の内容は異質ですが、とても腑に落ちる。この手の本が少ないのは、アイデアを捻り出したり、発想することを体系立てて説明することが難しいからだと思う。アートがなかなか理解されないことと似てますね。

右脳は芸術脳と言われて、閃きや発想を促す役割を持っているとか。情報をいかに右脳が作用しやすい形に持って行くか。それが書かれた良書ですね。

読んでいて、いちいち頷いてしまったのは、まさに書かれてることを経験から、実感していたから。

会議になるとノートパソコンがずらっと並ぶ。もう普通の光景です。記録や議事の共有には、直接パソコンでデータ化したほうが効率はいいし、そうしたこともある。ただ記録することが軸になって、考えるという本来の活動がおなざりで考える効率は格段に落ちてました。なのでいまだに僕は紙のメモ派です。会議中やってることは、ふむふむと思ったキーワードを書く。そして次々に浮かぶ頭の中の妄想を、線でワードを繋げ図式化しながら連鎖させる。そうすると色々と浮かんでくる。これが経験的にしっくりきてたんです。このことが本書でも書かれてました。

IT系の会社でも、誰でも出来るパターン作業にまるまる一日を費やすクリエイターもどきがわんさかいます。ツール使えば数分で終わる作業なのにね、なんてことがザラにあります。指示されたことをこなすことと、発想することは、全く別物のスキル。いうまでもなくこの本では後者のことが書かれてます。

例えば書籍の中では、気になることにレ点を付ける。これを頭の中ですることで充分だという指摘。レ点は、自分の興味本位でOKということ。物事を発想できないのは、気になるというレ点を付けないと何も始まらないという警告でもあると思いました。

もう一つは、情報は寝かせるということ。これも体験として実感。人と話してたり、本を読んでたり、何かを見て、気になったことは、一応、頭の中やメモで気に留めようとしてる。つまりレ点をつけるようなことをしてます。それが、ある時、パッと繋がる瞬間があります。僕の場合は、大きな本屋さんで背表紙やら表紙を見ている時が、多い気がします。書籍の中ではスパークという言葉で表現されていますが、これもとってもわかる。

そういえば、なんたらの企画会議とかいう会議。新しい発想は会議中に生まれることは、まずないです。アイデアは聞かれてから考えても、ロクな発想は出ない。日頃からアンテナ立てて、気になるワードにレ点をつけて、スパークを待つ。会議ではそのスパークしたアイデアを披露するだけ。専門の領域であればあるほど、誰もがこんなことやってると思うんですよね。

もしその話題でスパークしたことが思いつかないのならば、専門外や興味のない領域だったんだろうなと思う。

写真家の視点で、この本を読む。面白い、気になるものはないかなって常に探してる。それが写真家の仕事でもあると思う。ある時、それがスパークして、これだって光景に頭の中や、目の前に現れる。書かれていることに、納得しまくりだと思います。

アイデアを渇望する、すべての人に読んでもらいたい良書です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

コメントする