しゃにむに写真家 吉田亮人著
面白かったです。一気に読んでしまいました。小学校の教師から写真家へなった吉田さんの自伝です。「この家には教師二人も要らん。教師辞めて欲しい。写真家になったら・・」なんて同僚で教師の奥さんから言われて、その通り教師をやめた吉田さん。同じ境遇になった時、僕ならどうしただろう?なんて思いながら読んでました。写真業界のことを少なからず知ってる僕ですら、この決断は凄い。それに写真家になるための苦労話もあっけらかんと書かれています。写真家としてもがき苦しむ様は、DeNAを創業された南場知子さん著の「不恰好経営」に通じます。起業って成功法があるわけではなく、さまざまな失敗を繰り返しながらあゆみを進めていく。どの起業家も同じで想像以上に泥臭い。そんな体験をされている方の言葉は重いし面白い。結局、独立してお金を稼ぐんだから、同じといえば同じなんだけれど、その苦労をしてでも写真をやり続けたいと思う強い意志や意義が重要なんだろうなと改めて思ってました。発表された作品の作成意図や心の変化も丁寧に描かれていて、写真家としての心の葛藤は、自分の心に正直でシンプル、それに繊細で共感できるもの。それにしても、要所要所で出てくる、吉田さんの奥さん。すんごい良いエッセンスを与えてます。できれば奥さん語録だけでも読んでみたいと思いました。吉田さんの写真、失礼ながら見たことがない。京都グラフィーに展示されていたと知りましたが、見逃してます・・。今度写真集取り寄せてみようかなぁと。久々に写真家のライブな情景が浮かぶナイスな内容でした。
是非是非、お勧めします。